相続時精算課税制度は、一度選択すると取り消しができないため慎重な判断が必要です。
将来、相続税がかからない方の場合
例えば、将来、父の相続時には相続税がかからない見込みのケース。
110万円を超えるとまとまった金額を一度に贈与したい場合には、父からの贈与について相続時精算課税を選択した方がよいでしょう。
相続時精算課税制度を選択すれば、2,500万円までは贈与税がかかりません。また、将来、父の相続発生時に贈与金額が相続税の対象となっても、もともと相続税がかからないケースですので、贈与金額2,500万円までは結果として税金ゼロで贈与できます。ただし贈与税の申告が必要です。
将来、相続税がかかる方の場合
例えば、将来、父の相続税において相続税がかかる見込みのケース。
父からの贈与について、通常の贈与税(暦年課税)の税率が将来の相続税率より低い場合は、相続時精算課税制度を選択せず、暦年課税による贈与を行う方が有効です。
相続時精算課税制度を選択すると将来の相続税の際、過去の贈与財産が足し戻され、高い相続税率が適用されますのでこの場合は選択されない方がよいでしょう。
ただし、高収益を生む不動産や将来価額が確実に上昇することが予想される財産(例えば自社株)については、相続時精算課税制度を選択して、早めに移転することは有効です。(不動産については不動産取得税、登録免許税等の移転コストに留意が必要です)
選択後、気を付けること
相続時精算課税制度を選択した場合、以降その贈与者から贈与を受けたときには、たとえ贈与額が1万円でも翌年3月15日までに贈与税の申告をしなければなりません。
また、前年までの贈与財産が特別控除額2,500万円を上回っている場合には、1万円の贈与であっても税率20%の贈与税が課税されます。